精神科医療は常に変化し続けています。新しい向精神薬の登場や新しい治療技法の展開、新しい社会支援など様々な面で進化しています。また、精神疾患そのものも統合失調症の軽症化や減少、発達障害の増加などの変化がみられます。これらには社会の変化も影響していると言われ、精神疾患がいかに心理社会的な疾患であるかがわかります。世間では多様性が盛んに叫ばれる一方で、生産性や効率性が重要視され、障害を持つ人や挫折を経験した人の中には住みにくくなっていると感じる人もいるでしょう。精神科デイ・ケアに来ているメンバーの中にも精神疾患となり、みちくさを食わされてしまい、すっかりと自信を失くしてしまっている方も少なくありません。
 精神科デイ・ケアは精神科リハビリテーションの中心的な役割を担ってきました。リアルな身体的活動(対話、運動、農作業、創作、調理など)を通じて自尊心の回復や、対人技能の向上、さらには就労・社会復帰を目指しています。このリアルな体験の重要性は普遍的なもので、今後も精神科デイ・ケアの根幹となるものでしょう。しかしながら社会の変化に合わせ精神疾患を持つ人がより当たり前に夢や希望を語れる場として変化していく柔軟性も求められています。
 福岡県デイ・ケア研究協議会はこれまでも施設や職種を超えて精神科デイ・ケアの様々な問題点について考える場となってきました。これからも精神科デイ・ケアに携わる全ての方々が利用可能な場であり、スタッフにとっても夢や希望を語れる場として発展していくことを願っております。


福岡県デイ・ケア研究協議会 会長
川嵜 弘詔
(脳科学・精神医学総合研究所 所長)
 
 
 福岡県デイ・ケア研究協議会は、精神科デイ・ケア利用者様の社会復帰を推進するために、デイ・ケアに関する様々な問題を研究・討議し、さらに相互の知識、技術の交換をはかること等により社会復帰医療の一層の発展に寄与することを目的に行われている協議会です。年に2回、福岡県下の精神科病院、診療所、大学病院等のデイ・ケア従事者が集まり、学会形式でデイ・ケア活動の実践報告や研究発表、特別講演やシンポジウムを行っています。1982年に5つのデイ・ケア施設が協力し合って発足した本会ですが、現在では登録施設数が20を超え、毎回活気あふれる協議会が開催されています。現在、精神科医療だけでなく日本の医療全体が大きな変革の時期を迎えていますが、福岡県デイ・ケア研究協議会はデイ・ケアの持つ治療的意義をより一層深いものとし、そしてなによりもデイ・ケア利用者様にお役に立てるように、今後も地道に活動していきたいと考えております。

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